勉強に自信を失ってしまった娘に
『反映的な聴き方』で勇気づけ
2児(小4女子、小2女子)の母 Sさん
塾通いを始めた長女
小4の長女が、
「塾へ行って受験勉強する」
と、言い出し、11月から通い始めました。塾の勉強は学校よりも進み方が早く、5年生で習う算数を4年生のうちに習ってしまいます。他の友達は4月から通っていますから、娘はついていくだけでもたいへんでしょうから、私は4年生の間は無理強いせず、塾に慣れるだけでいいと思っていました。
塾に通いはじめて1週間後に定例テストがありました。案の定、結果は惨憺たるものでしたが、
私 :「いいじゃないの。行き始めたところなんだし」
娘 :「うん、まあいいよね」
娘もあまり気にしていないようでした。
塾に通いはじめてからの彼女の1週間はびっしりと詰まっています。塾が週2回、そのほかにピアノ、習字、スイミングスクール。何もないのは日曜日と月曜日だけです。
学校の宿題の他に塾の宿題もありますし、ピアノの練習もあります。塾の宿題ができなくて就寝時間が遅くなることも多くなりました。
最初は
娘 :「私ってかっこいいのよ。火曜日から土曜日までびっしり」
と、得意そうに話していた長女も、だんだん疲れてきたようでした。私の心の中にも
私 :「こんなにまでさせなければいけないのだろうか」
と、いう迷いが生まれてきました。
「どうして私ばっかり」
塾に通いはじめて1ヵ月ほど過ぎた頃です。
娘 :「どうして私だけが、勉強ばっかりしないといけないのよ」
娘が突然怒りだしたのです。
学校よりずっと進んでいる塾の勉強に、娘はとまどっていました。判らないところを先生にも聞けず、判らないまま宿題が出て、判らないまま授業が進んで行ってしまうのです。学校の宿題や他のおけいこもあるし、テレビも見たいし、遊びたいし、もやもやした気持ちがずいぶんたまっていたのでしょう。
2歳年下の妹は、のんきそうにテレビを見ています。
娘 :「他の人はみんな遊んでいるのに、
どうして私だけが勉強しないといけないのよ。
私の勉強中は妹にテレビを見せないでよ!」
長女は、哀れみをかけ、『いい親』になろうとしていた私の心を見抜いていたのでしょう。過保護に、甘やかされることを期待しているようです。
彼女の不満は何なのか?
私に何ができるのか?

『反映的な聴き方』を試してみることにしました。
私 :「そうね、あなたが勉強しているとき、妹がテレビを見ていたことに
腹を立てているのかしら?」
長女:「妹だけずるいと思うわ。私は苦労しているのに」
私 :「5年生の算数が難しくて、たいへんなのね」
長女:「私だって遊びたいのに」
私 :「自分だけが勉強させられていると思ったのね」
長女:「他の人は前から行っていたから判るけれど、私だけ習っていないから判らない」
私 :「考えても判らないと思うの? 自分には能力がないと思うの?」
娘を勇気づけ、自立心を養うような助言をしてあげたいと思いました。
私 :「あなたは勉強の進め方が判らなくて、混乱していたの?
あなたなら一人でやり方をマスターできると信じていたのよ。
他の人だって、努力していると思うわよ」
長女:「友達なんか、11時くらいまで勉強しているんだって」
私 :「焦らなくてもいいと思うわ。毎日の積み重ねが大切なんじゃ、ないのかな」
長女の表情がなごみます。大きな声を出して、すっきりしたのでしょうか。
長女:「漢字は毎日練習しないと1日では覚えられないね。
算数の判らないところは、お母さん、見てくれる?」
私 :「一緒に考えようね」

自信を持つと勉強がおもしろく
それ以来、娘は少しずつ変わってきました。テレビも見たいと思わなくなったようです。妹も長女の勉強中は気を遣っているようです。また、友達のお姉さんの話を聞いたりして、勉強がたいへんなのは自分だけではないということも分かってきたようです。
けっして勉強が嫌いな訳ではなく、チャレンジ精神を持った長女です。もたもたしながらも自分のペースをつかみはじめてきました。私はただ娘を信じて見守ってあげようと思っていました。

やがて、少しずつ成果が上がってきて、判らなかった問題が解けたときの喜びも味わえるようになりました。
長女:「この問題のとき方、友達に教えてあげた。
次のテストは完璧よ」
私 :「さすが! すごいね。やればできると思っていたわ」
次のテストは、前回にくらべ多少成績が上がり、人に見られても恥ずかしくない点をもらってきました。漢字のテストは銀賞でした。
こうなると娘はがぜん張り切りだし、
長女:「次のテストで1番になったら、何か買ってね」
と、言い出すようになりました。
自信を持つと勉強がおもしろくなります。今は何も言わなくても、机に向かっています。結果はだめでしたが、児童会の副会長に立候補したりしました。
「どうして私だけが……」
と、言い出したとき、子育ての学びの場・STEP勇気づけセミナーで子育てを学んでいなかったら、私はなんと答えていたでしょう。できないと自信を失っている長女を追い詰め、自分のからに閉じこもらせてしまっていたでしょう。大きな声で脅かし、閉鎖的な考え方をしたり、人権を無視して無理やり塾へ追い立てることになっていたと思います。
まだ、長女を苛酷な受験戦争の中に巻きこんでしまったことにたいして、迷いがなくなった訳ではありません。次ぎつぎと難しい問題が出てくると思います。私も娘たちに負けないように、がんばりたいと思っています。






